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アニメ屍鬼に関する情報を集めているページです。 このページをお気に入りに追加すると、いつでも最新情報を見ることができます。 Amazon.co.jp ウィジェット ぴったりサイト 屍鬼【YouTubeアニメ無料動画@Wiki】 屍鬼のアニメ動画、MAD動画など多数紹介。他のアニメも更新中! 注目の最新情報一覧(ブログ) ★ 感想リスト ★ #blogsearch2 ★ Torrentリスト ★ #blogsearch2 ★ 壁紙リスト ★ #blogsearch2 成分解析 屍鬼の43%は毒物で出来ています。屍鬼の33%は世の無常さで出来ています。屍鬼の21%は怨念で出来ています。屍鬼の3%は勇気で出来ています。 コメント欄 名前 コメント ブログやサイトに貼るだけ。お小遣いをゲットしよう! ▼クリックすると関連する動画をすばやく表示します! アニメ ゲーム 無料 トレント 壁紙 ▲PAGE TOP
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アニメデジモンクロスウォーズに関する情報を集めているページです。 このページをお気に入りに追加すると、いつでも最新情報を見ることができます。 Amazon.co.jp ウィジェット 注目の最新情報一覧(ブログ) ★ 感想リスト ★ #blogsearch2 ★ Torrentリスト ★ #blogsearch2 ★ 壁紙リスト ★ #blogsearch2 成分解析 デジモンクロスウォーズの60%は華麗さで出来ています。デジモンクロスウォーズの16%は魔法で出来ています。デジモンクロスウォーズの12%は呪詛で出来ています。デジモンクロスウォーズの8%は毒電波で出来ています。デジモンクロスウォーズの4%は明太子で出来ています。 コメント欄 名前 コメント ブログやサイトに貼るだけ。お小遣いをゲットしよう! ▼クリックすると関連する動画をすばやく表示します! アニメ ゲーム 無料 トレント 壁紙 ▲PAGE TOP
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出演作品へのリンクは原則(サブ)レギュラーか出演作品のサイトでキャスト欄に載ってる作品のみとし、OVAを除いてモブまたはゲストでの出演は含みません。 リンクを貼るのはアクセス可能なサイト限定で、削除済みのサイトは掲載しません。 【TVアニメ作品】 ●2004年 アークエとガッチンポー(タケシ役)※2005年開始のアークエとガッチンポーてんこもりも同じURL カレーの国のコバ~ル(トゲール/ハニーおばさん役) DAN DOH!!(青葉弾道役) ●2005年 奥さまは魔法少女(桂裕貴役) スクールランブル(ララ・ゴンザレス役) スターシップ・オペレーター(篠原ミナセ役) はっぴぃセブン~ざ・テレビまんが~(沖まひる役) 魔法先生ネギま!(桜咲刹那役) ●2006年 銀魂(猿飛あやめ役) スクールランブル二学期(ララ・ゴンザレス役) つよきす cool×sweet(椰子なごみ役) TOKYO TRIBE2(スンミ役) ネギま!?(桜咲刹那役) 武装錬金(楯山千歳役) 落語天女おゆい(千石涼役) ●2007年 さよなら絶望先生(木村カエレ役) Saint October(聖三咲役) 桃華月憚(六条章子役) ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-(カケイ・リョウコ役) 爆丸バトルブローラーズ(空操弾馬役) BACCANO! -バッカーノ!-(ニース・ホーリーストーン役) ひぐらしのなく頃に解(北条悟史役)※本編は祭囃し編序盤のみ出演、捜査録 -結- に本人出演の映像特典あり PRISM ARK(アイラ/ユング・フォン・フェルディナント役) ●2008年 あまつき(紅鳶役) 仮面のメイドガイ(平野美和役) 今日の5の2(佐藤リョータ役) クリスタルブレイズ(サラ役) 俗・さよなら絶望先生(木村カエレ役) まかでみ・WAっしょい!(シンクラヴィア役) ワールド・デストラクション ~世界撲滅の六人~(リ・ア=ドラグネール役) ●2009年 うみねこのなく頃に(嘉音役) クプ~!!まめゴマ!(ひかる役) 咲-Saki-(加治木ゆみ役) 懺・さよなら絶望先生(木村カエレ役) にゃんこい!(一ノ瀬凪役) バスカッシュ!(クローリー役) ヒゲぴよ(羽田ひろし役) まりあ†ほりっく(祇堂鞠也役) ●2010年 荒川アンダー ザ ブリッジ×ブリッジ(アマゾネス役) おおかみかくし(九澄博士役) 会長はメイド様!(加賀しず子役) 生徒会役員共(横島ナルコ役) 世紀末オカルト学院(川島千尋役) セキレイ~Pure Engagement~(秋津役) ソ・ラ・ノ・ヲ・ト(和宮梨旺役) ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド(美刃役) 爆丸バトルブローラーズ ニューヴェストロイア(空操弾馬(ダン)役) B型H系(金城京香役) 百花繚乱 サムライガールズ(後藤又兵衛役) モンハン日記 ぎりぎりアイルー村 ★アイルー危機一髪★(ニャイト役) 【OVA/OAD】 AIKa ZERO(ハムレット役)※第1話に出演 がぁーでぃあんHearts ぱわーあっぷ!(鏡円役) 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY(風花・アジャー役) 今日の5の2宝箱(佐藤リョータ役) 獄・さよなら絶望先生(木村カエレ役) 懺・さよなら絶望先生(木村カエレ役) スクールランブル三学期(ララ・ゴンザレス役)※#26(コミックス22巻初回限定版)に出演 電波的な彼女(紗月美夜役)※第1弾に出演 トップをねらえ2!(シトロン・リモーネ役)※3巻に出演 殿といっしょ(森蘭丸役) ひぐらしのなく頃に礼(北条悟史役)※2~3巻に出演 魔法先生ネギま!~白き翼 ALA ALBA~(桜咲刹那役) 魔法先生ネギま!~もうひとつの世界~(桜咲刹那役) マリア様がみてる 3rdシーズン(綾小路菊代役) 【劇場版】 犬夜叉 紅蓮の蓬莱島(橙役) ボクとガク ~あの夏のものがたり~(藤村希望役) 劇場版 銀魂 ~新訳紅桜篇~(猿飛あやめ役) 【Webアニメ/特撮】 Candy boy(櫻井雫役) Kawaii! JeNny(アキラ役) webアニメ『TRIP TREK』(ザジゼール・ゾッコ役)
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ひぐらしデイブレイク改(ひデブ) 通信対戦ロビー 通信対戦ロビー予備 IRC導入法 【ブラウザからIRCを利用する】 これが一番お手軽です。下記のサイトにアクセスします。 http //irc.2ch.net/QuickIRC/qi-login.cgi 対戦場所ならチャンネル名は #hidebu 雑談ならチャンネル名は #hidebu雑談 です。 なお、Operaなら、最初から使えます 【専用ツールからIRCを利用する(お勧め)】 http //limechat.net/ ここへ行き、画面右上から「LimeChat 2.16」をダウンロード。 ツールの設定 起動すると「LimeChat2 のインストール」というダイアログが出るので「最低限の設定をはじめる」を選択。 ニックネームを決める(後でも変えられるので気楽に) 接続するIRCサーバで「irc.2ch.net」を選ぶ。決定。 接続したときに入るチャンネルとして「#hidebu」(鍵括弧は含めない)を入力。追加ボタンを押す。 ↓↓ 18 24 irc.2ch.net 6667へ接続を試みます 18 24 接続しました 18 27 ログインしました と出ればOK 画面の見方 左上が「チャットログ」 左真中が「発言用入力欄」(Enterで発言) 左下が「今見ていない場所(複数の部屋に入った時など)での発言などを表示してくれるシステムログ」 右上が「部屋にいる人一覧」 右下が「あなたが登録したサーバと部屋一覧」 最低限覚えておくこと IRCでの挨拶 「こんにちは」などの挨拶をしましょう。よほど部活で人が出払っていなければ返事が返ってくるはずです。 初めての利用であることを伝えれば、色々教えてくれるでしょう。 部活募集 基本的に「XXX.XXX.XXX.XXX 部活募集。30分くらい、誰でも歓迎。設定デフォ」という感じでホストが募集をします。 ホストの発言による制限を満たしているなら、遠慮なく入りましょう。 その後「@3」「@2」「@1」などの発言をホストがする場合があります。これは参加できる残り人数を伝えています。「@0」は枠が埋まったということです。 部活募集のよくある流れ とりあえず「よろしく」などの挨拶がかわされます。 その後60秒の「流しプレイ」。 通信状況をこなすためのテストプレイです。 その際キャラはなんでも構いません。 次からが本番です。 以上が大まかなひデブの流れです。 参考 ひぐらしデイブレイク情報Wiki
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【板名】 レディースコミック 【理由】 雑誌数が多いので分割。 【内容】 レディースコミックを語る 【カテゴリ】 漫画・小説等 【鯖】 comic6 【フォルダ】 lady 【名無し】 【ID】
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CP:梨花×沙都子(リバあり) 設定:祭囃し編の後日談。 羽入は澪尽しのような状態でいると思ってください(存在はしているけど梨花の前に姿を現さない) 鷹野の企みを打ち破って平穏な日々を送れる、と毎朝目が覚めるたびに心が躍った。早起きした方が競って破る日めくりカレンダーで日にちを見るのが毎日楽しみだった。毎日が笑って過ごせて、隣には沙都子がいて。本当に幸せだった。 ――だが、いつからだっただろうか。 沙都子が私に目を合わさなくなったのは。 沙都子が私に触れなくなったのは。 沙都子が私から離れていったのは。 ――沙都子が家に帰るなりすぐ出かけるようになったのは――。 帰宅してものの数分で私服に着替えた沙都子は私が部屋の換気を行っている隙に出かけようとしていた。 「沙都子?」 「何ですの、梨花…私急いでいるんですのよ」 少し気まずそうな表情をしながら振り返る。 「…どこかに出かけるのですか?」 「え、ええ! 裏山にいって以前仕掛けたトラップの確認をしに―」 確か昨日も似たような事を言っていた。ああ確か診療所に仕掛けたトラップを確認するって言ってたんだっけ…。昨日はなんで断られたんだっけ、そうそう私が夕食当番だったから。 「ならボクも一緒に行きますです」 「いっ…いえ! 梨花には危険ですし私一人で行きますからっ」 「でも沙都子、今日の夕食当番は沙都子です。だからボクは沙都子が帰って来ないと飢え死にしてしまうのです。」 「ええ、ですからトラップを確認してから買い物にいくつもりでしたのよ?」 この反応は予想の内だった。だから私は昨日のうちにあらかじめ食材を買っていた。 「買い物は昨日済ませておいたのです。今日は何も買わなくてもいいのです、にぱ~☆」 「そ、そうでしたわね……あ、あぁ! 私詩音さんに―」 「沙都子」 「なっ、なんですの?」 「…みー、どうしてそんなにボクから逃げるのですか?」 「逃げてなんていませんわよっ!」 「逃げているのです」 「逃げてませんわっ!」 図星をつかれたのか沙都子の声が段々と大きくなっていた。 「みー…沙都子はボクのこと嫌いなのですか?」 「はっ!? な、何を言ってるんですの梨花!?」 「沙都子はボクと目を合わせてくれないのです…」 はっ、と息を呑む音がしたと同時に目が泳ぎ始める。 「そそ、そんなことないですわ! 梨花の気にしすぎなんですのよ!」 「…みぃ、沙都子。嘘は良くないのです」 「嘘なんて言ってませんわ、何なんですの梨花さっきから―」 「ボクは沙都子の親友です。だから沙都子がいつもと違うことくらい分かります」 「…っ」 俯き口を紡ぐ沙都子。 ――ねえ沙都子、どうして目を合わせてくれないの? 「何か悩んでることがあるのですか?」 「…」 ――私にも言えない事なの? 「みー…何か沙都子を傷つけることをしてしまってましたか?」 「いえ」 「ではどうして? 沙都子はボクからいつも逃げようとするのですか?」 「…親友でも、いえ親友だからこそ…知らなくてもいいことだってあるんですわ」 「みぃ? どういう意味なのです?」 その問いかけに返事はなく、もう言う事はないとばかりに踵を返し裏山へ向かおうとした。 「沙都子っ!」 「…梨花を飢え死にさせないように、ちゃんと帰ってきますから」 私の呼びかけに顔だけ振り返ってみせ、そう言うと走り出した。段々と小さくなっていく親友の後姿を見て、何に悩んでいるのか分からないことの悔しさと悲しさと切なさが一杯になって涙が溢れた。 ===== 「はぁ…はぁ、は…っ」 無心となって走った。木の枝が足を、腕を、顔を引っ掻いても気にしなかった。梨花が私を呼んで、私の手をとって、私の目を見つめて問いたださないように。ただそれだけが怖くて走った、寧ろ逃げたと言ってもいいくらいに。 裏山の立ち入り禁止の看板を見つけそこで息を整える。 トラップなんて何があってもいいように念には念を押して仕掛けてあるのだから頻繁に確認しにくる必要はないという事は私は当然、梨花も知っていた。だから言い訳はただの嘘という事は悟られていて、それでも何も聞いてこないのは梨花の優しさだと思ってた。 「…一応嘘とは言えども、裏山に来たんですから確認はしておいた方がいいですわね」 呼吸と身なりを整え誰に会うわけでもないこの裏山に入っていく。これだけの木々が立ち並んでいるのだから日が影ってしまえば出るのはさすがの私でも少し不安。だから早めに立ち去ろうと決めた。 …梨花を飢え死にさせないためにも、というのはあながち間違いでもないのだが、今日で終わらせる、と気持ちにケリをつける日だったから。 ――不謹慎ながらに山狗という部隊が来た時は楽しめましたわね。 散策しながらあの時はを思い出す、ただ梨花を守りたいとそう思う一心でいた。それは仲間であり、家族だったから。 にーにーが突然いなくなったのは私が守ってあげられなかったから…だから私は自分のかけがえのない人を自分が原因で失わないように努力していた。 足をぴたりと止める。 「これは圭一さんを驚かせようと梨花と考えて―…」 作ったばかりのトラップ。部活メンバーで裏山に来たら絶対仕掛けてやるんだと意気揚々と作った記憶がある。でもその機会は未だ訪れないからまだ発動してないわけで…その理由もよく分かっている。 「私が、梨花を好きになってしまってから全てがおかしくなってしまったんですわよね」 ―あの頃に戻りたい。 みんなで笑いあって、隣には梨花がいて、そんな生活に戻りたい。 ひぐらしの鳴く声をもっと穏やかな気持ちで聞きたい、ただそれだけなのに――― ――――― 叔母が死に、叔父が逃げ、兄が消えた。私は一人になった。 にーにーの匂いが残る部屋があるあの家は私一人ではどうしようもなくて、いつもにーにーに頼ってばかりいたから何をどうしたらいいのか分からなかった。 ご飯の炊き方やお味噌汁の作り方くらいは知っているけれど、オカズはどうしよう。雛見沢は外からのものや対立するものに敏感で、私…「北条」に一段と冷たかった。誰も助けてなんてくれない、と知っていた私は途方に暮れていた。 「沙都子、一緒にボクと暮らしませんか?」 「…え?」 そんな私に声をかけたのは友達の梨花だった。 梨花は古手家と言ってこの雛見沢では御三家と呼ばれる格式高い家柄でその頭首である梨花はオヤシロさまの生まれ変わりなどと謳われ私を忌み嫌う村の人たちのマスコット的存在であり、とても愛されていた。 いつから私の傍にいてくれたのかは分からないけれど、梨花は私を北条だからと言って特別視した事はなかった。にーにーがいてくれた時はにーにーにばかり頼っていたから気づかなかったけど梨花はずっと私を見守ってくれていたんじゃないかと思う。 「ボクも沙都子と同じでおとうさんもおかあさんもいないのです。」 「…」 「ご飯を食べるのは一人だと味気ないのです。それに一人前だけ作るのは難しいので作るたびに食べ終わるまで大変なのですよ」 「そうですわね…」 「沙都子が良ければボクの話し相手になってもらいたいのです」 「え?」 「一人でいるよりも二人でいる方がきっと楽しいのですよ」 そう言って梨花は私の手を取り笑った。まるで花が咲くように。そして私と梨花の二人の生活は始まった。 最初こそ戸惑いはしたものの、梨花との生活は色々な事が学べて楽しかった。 住み始めた頃は色々と梨花が世話を焼いてくれていたけれど同居しているんだから、と家事全般を梨花に教えてもらいながら生活していった。教えてもらいたての頃は上手く作れなかったけど、少しずつ料理が出来るようになって交代制になった。 梨花のご飯を食べるのはとても好きだけど、私が梨花にご飯を作るのも好きだった。失敗してしまった料理が食卓に並んだ時は「まだまだなのです」なんて言いながらも「沙都子の味がして美味しいのですよ」と花のような笑顔を絶やさずに完食してくれた。 いつも私の隣でにこにこと微笑みながら、いつも一緒にいるのが当たり前で。梨花が私の親友で、仲間で、家族である事が誇らしくてとてもうれしかった。だから何をするにも常に一緒に行動していたし、それが当たり前だと思うが如くにふるまった。そして梨花もそれが当然というように私の隣にいてくれた。 私の元気がない時は梨花の笑顔もどことなく影が宿っていて、そんな顔をしている梨花を見たくないと言ったら「沙都子が笑ってくれたらボクも笑うのです」と頭を撫でた。沙都子をなでなでなのですよ、なんて言いながら。 私の頭を撫でても問題がある人とない人がいて、その中でも特に心地よかったのは梨花と圭一さんだった。 言動や物の考え方こそ違うもののにーにーのようで、だから圭一さんに頭を撫でてもらうのは好きだった。それをしている時の圭一さんは優しい顔で、私も自然と笑顔になっていて、だからきっとこの瞬間も梨花は笑っていてくれるだろうと思って梨花に視線を投げかけたら…違った。ほんの一瞬だったけど、だけど何かが篭っている目をしていた。 私が瞬きをすると、「みー!ボクも沙都子をなでなでするのです」とさっきまでの黒い表情はなくなり、いつもの梨花が圭一さんと私の頭を取り合った。 その表情が忘れられなくて梨花に問いただしてみると、何の事か分からないとはぐらかす。梨花は何か私に隠してるのではないかと疑ったくらい。それが少し悲しくて顔を俯かせた。 「沙都子はボクのものなのです、圭一は悟史に似ているというだけでずるいのです」 「梨花?」 「沙都子の傍にいれるのがボクの幸せなのです。だからずっとずっと傍にいるのですよ? にぱ~☆」 「当たり前ですわよ、梨花とは切っても切れない関係なんですから!」 「み~☆まるで腐れ縁みたいな言い方なのです」 ―そう言う梨花の顔は穏やかだった。 ――――― 梨花の様子がおかしい時があった。それは鷹野さん達の目論見があった頃だったから、梨花は不安だらけだったと思う。 私に出来ることと言えば傍にいて梨花の不安を紛らわす事、笑わせてあげる事くらい、だから梨花が私の知らぬ男性と話し安堵の表情を向けていた時には非常に腹が立った。 その人は赤坂さんと言って、警察の方らしい。正直なところ警察はあまり好きではなかった。 それも関係してか赤坂さんの事を好きになれなかった。少しトラップでも仕掛けようかと思ったが、それも大人気ないと諦め梨花が信頼しているから私も信頼する事にした。 そしてあの一件以来、梨花の口から「赤坂」という単語が出ることが多くなった。赤坂から手紙がきたとか、赤坂が何月にくるだとか、赤坂に電話をしただとかそういう事ばかり。 もしかしてあの人のこと好きなんだろうか…そう考えるようになってからというもの、普段と変わっていないと思っていた梨花の食欲のなさが目に付いた。どうしたのと聞くのもおこがましく感じて、聞くのをやめた。 どうせあの赤坂という人を思って食事が喉を通らないとか言うんだろうと思ったら、また 悔しくて腹が立った。 梨花の笑顔が消え、食事も捗らなくなった。 あの赤坂という人がきてからの梨花は私の心をざわつかせた。心の奥に黒い靄がある。 それが引き金となったのか少しぎこちなくなっていた頃、レナさんや魅音さん、そして圭一さんが声をかけてきた。 「梨花ちゃんとケンカでもしたの?」 「いえ、そういうわけではありませんのよ」 「そう? それならいいんだけど、おじさんとしては心配なわけよ」 「ほほほっ、それはそれは大変申し訳ありませんですわね」 「沙都子、あまり抱え込むなよ?」 「え?」 「自分で思っている事を全て自分で解決しようとするとロクな目にあわないからな」 「そうだね、圭一君の言うとおりだよ。二人に何があったのかは分からないけど、でも 二人が元気ないのを見るのは寂しいんだよ、…だよ?」 「まあレナは元気じゃない二人をお持ち帰りしてもつまんないって言いたいんだけどね!」 「おい魅音…」 「あーっははは、ごめんごめん。でもね沙都子、何か力になれる事があったら言うんだよ」 「そうだぞ沙都子、悩みを打ち明けるのは恥ずかしいことじゃないんだからな」 「そうそう、梨花ちゃんも沙都子ちゃんも大切な仲間なんだからねっ☆」 「…お気遣い、ありがとうございますですわ…」 ――情けない。 周りに迷惑かけるなんて私らしくもない。こうやって悩んでるのだって私らしくない。みんなが心配しているんだから早くモヤモヤとした黒い感情をどうにかしなくては。 梨花に対しても、誰に対しても今までもった感情ではなかったからどうしたらいいのか分からない。みんなに相談してみようか…?でもどう伝えたらいいのか分からない…。どうしたら、どうしたら、どうしたら、どうしたら…。ああ、もうしっかりしろ北条沙都子!!!!クールになるんだ!! そうやって自分の気持ちを無理矢理盛り上げた結果、梨花に直接気持ちを言う事。梨花が誰かと話していると面白くないし、誰かに笑いかけているのも面白くない。何故と言われたら答えようがないのだけど、多分梨花なら私の言いたい事を分かってくれるはず。梨花の事にはレナさんや圭一さんや魅音さんには分からないだろう、だから梨花本人に聞くのが一番手っ取り早くモヤモヤを解消出来るんじゃないのかと思った。 思い立ったが吉日、梨花を探す。教室にはいない。日直じゃなかったからトイレ?、といつも一緒に行っているのに私に何も言わず一人で行ってしまった事にすら苛立ちを覚えたが、こんな感情とも今日でおさらばだと思うと心なしか気持ちがうきうきして足取りも軽くなった。 教室を出た先には梨花と、レナさんがいた。 遠目で見たから会話までは聞こえないが梨花が何かレナさんに話していた。 梨花の表情はとても暗く目には涙も浮かんでいて、私の隣にいるときは決して見せない顔をしていた。その反面レナさんはとても満ちた表情をしていて、きっと泣き顔のような梨花をかぁいいとでも思っているんだろう。 そんな梨花を、レナさんを見ているのが不快で二人に声をかけようとした瞬間目を疑った。 「り、か―…?」 レナの手が梨花の頬に触れ、二言三言梨花に話しかけると梨花が満面の笑みで返した。 ドクンッ と突然心臓が飛び跳ねたかのようなスタートを切る。鼓動が高鳴る、呼吸が乱れる。 そんな光景を目の当たりにして声をかけることが出来ない代わりに頭の中で感情が文字として駆け巡る。 ――なにをやってる?何をされている?レナさんはなんで梨花に触れているの?梨花はなんでそんな嬉しそうな顔をしているの?その笑顔をレナさんに向けてるの?私だけのものじゃないの?梨花は私にだって沙都子はボクだけのものだって言った、なのにどうして梨花は私じゃない人に触らせて喜んで最近私に見せなかった表情を他の誰かに見せるの?どうして?どうして?どうしてどうしてどうしてどうして、どうして梨花?どうして私だけを見てくれないの?こんなに毎日貴方のこと考えて、いつもいつも梨花の事ばかりで私はこんなにも貴方がスキ―――― 「…えっ?」 頭を巡る想いに、思いのほか大きな声が出た。 それは梨花とレナにも聞こえないはずもなく、声の主を探し、そして私は二人と目があう。呆然とした表情でたっている梨花と状況がいまいち飲み込めないレナさんが声を合わせて名前を呼ぶ。 「…さ、とこ…」 「沙都子ちゃん…!?」 突然のことで言葉も出ない梨花に代わってレナが弁明しようとする。ああ、呼吸がうまく出来ない。意識が遠くなる。 「嘘、ですわよ…」 「え? 沙都子ちゃん?」 「嘘だって、言ってくださいまし…」 「何? 何が嘘だって…―」 「嘘ですわよぉぉおぉっっっ!!」 頭がクラクラして、目の前が白く染まる。 ――最近あまり食欲なくてちゃんと食べてなかったからかしら…。梨花の笑顔でもあれば食事だって進むのに… 意識を飛ばす寸前「沙都子っっ!」と、梨花が私を呼んでくれた。ああ…梨花、私は貴方を―――― ブツン。 ===== 私の隣にはいつも沙都子がいた。 どの世界でも一緒に住み始めた頃は少し余所余所しかったが、段々と自分に心を開いてくれてきていると分かるとそれが予定調和とは言いながら嬉しかった。 今私が昭和58年の夏を超え秋を過ごそうとしているのも、100年の輪廻を繰り返しても心がボロボロになって何の感情を持たなくならなかったのも沙都子がいてくれたから。私が元気ない時は一緒に落ち込むわけじゃなく、私を元気付けようと色々な話をしてくれる。 沙都子は私を照らす太陽みたいなもので、その明るさに目を向ける私は向日葵のようだった。沙都子がくれる暖かさを私の全てで吸収したかった。だから沙都子の元気がないと私も元気がない。大抵の事は私が傍にいる事でその元気を取り戻せていたのだが、私が傍にいることによって失われる元気もあると言うこともあり傍にいたいのにいれないという心苦しい想いをした事もあった。 私は沙都子が好きだった。 何度も何度も同じ運命を歩み、そして何度も殺されて記憶が曖昧なところもあるくらいなのにどんな運命の世界でも私の思いは変わらず、沙都子を好きだった。 彼女が笑った時に見せる八重歯が好きだった。本人は食べにくいなんて言って気にしていたけど私にはとても可愛かった。八重歯だけではなく、沙都子を確立してくれるものの全てが愛しかった。 寝ている時に言う寝言も、寝顔も、布団を蹴っ飛ばして出してしまうぷにぷにのお腹も何もかも彼女が関係しているものが好きだった。 ―私は時を越え、ずっと沙都子に恋をしていた。 女の子同士の恋愛は一般的には特異というものだという事は知っている。けれど私が好きなのは女の子なのではなくて、沙都子なのだ。 女なんて周りにはいくらでもいる、魅音や詩音やレナや知恵や鷹野や他にもたくさんいる。ある世界では魅音が、詩音が、レナがそういう関係を持っていた事もあった。そういう事に興味がないわけではなかったが私は沙都子と肌を触れ合わせたかった。 とある世界では圭一と身体の関係を持ったことがあったが、沙都子とは結ばれないんだという悲しみを紛らわすために圭一を利用しただけの事であり、仲間とは想うが恋心を抱いたことはない。そしてそういう相手との交わりはただ空しいだけで身体から生まれる性感だけで、空虚の心を埋めようと盛りのついた犬のように毎日交わっていた。 どうせ終わる世界なのだとしたら沙都子に言い寄ってみようかと試してみたこともある。それは失敗に終わった。やはり女の子同士という異質なものに対して沙都子が嫌悪感に似た感情を覚えたのか私を嫌ってしまいそのうちに北条本宅へ戻りそこには鉄平が戻ってきてしまったという最悪な結果で終わったこともあった。 その世界は全てのサイコロの目が1のように感じ、沙都子と一緒にいれないという事がこんなにも寂しく苦しく、悲しい世界なんだと言う事を知ってからはもう沙都子を無理やり自分のものにしようという気は失せ、代わりに沙都子にとって大切な人になろうと想い時には励まし、叱り、そして恋の相談も受けた。 好きな子が自分じゃない誰かを好きになっていく様を見ているのはただただ切なくて、圭一が沙都子を恋愛対象としてみてくれないと泣き崩れたこともあり、苦しい恋愛をしている沙都子を見るのは生き地獄にも感じた。 こんなにも近くで沙都子を想って心を痛めているのに、沙都子の事を誰よりも大切で誰よりもかけがえのない人と想い慕っているのに、ただ私が女ということで恋愛対象にならないという事が悔しくて。自分の性別を呪った。 100年も生きた魔女と謳うこの私がたった一人の小娘に心捕らわれている事が滑稽だった。だけど私は例えここで不慮の事故で意識を飛ばしてしまったとしても、沙都子のために戻ろうというくらいの想いがあった。 それは決して伝える事は出来ないけれど――― ―――― 今いる世界は今までとは違う。今まで駒として扱っていたモノ達にもちゃんとした役割があったからこそ掴めた未来。だからループの世界で見たくても決して見れなかった世界がある。 例えば魅音とレナが圭一を取り合っていたり、とか詩音が色々なコスチュームを持って診療所に通っているとか本当に些細な事だけども同じ生活でここまで新鮮に思えることがなかったので、それがとても楽しかった。 そして今私が日々を刻んでいるこの世界では沙都子の様子も今まで見たことのない事になっていた。 まず日々の生活で沙都子は私の周りに対する人への態度が刺々しかった。 村の人たちや血の繋がらない親族のおかげで誰よりもひどい目にあっているから、人を傷つけようとする事は沙都子にとって滅多にないことなのに。 特に赤坂に対してはとても辛辣な態度で、赤坂自身は沙都子と直接の関わりがそんなにないのだから沙都子が赤坂を一方的に好きになれないとしても、そんな事で冷たい態度をとるという結果に結びつくのは安直過ぎる。事情をよくわかってない赤坂はさすがに沙都子に避けられていると思い頭を悩ますのだが、正直なところその理由が私ですら分からないのに上っ面の言葉だけで大丈夫、という事も出来ず少し困っていた。 反抗期なのかと思いたしなめようと沙都子に言うのだが、本人が自覚していなかったため理由を聞いても無駄、却って沙都子を余計に怒らせてしまったため逆効果に終わる。 何か見たくないところでも見てしまったのか。だから赤坂にだけ特別冷たいのかと思いマイナスイメージを取り払ってもらいたくて赤坂とのやりとりを沙都子に話した。話は聞いてくれているもののあまり快活ではない返答がかろうじて返ってくる程度で、さもどうでもいいかのように食事を取るのだがその食事の量も今までとは段違いに少なく、いつも沙都子との会話を楽しみにしていた食事時もあまり楽しく思えなくなってしまっていた。 ―沙都子が元気でいてくれればそれだけで幸せなのに、その幸せがなく世界が灰色になってしまった気がしていた。 そして私への態度もおかしくなった。なんというか少し他人行儀だった。 これもまた赤坂の時と同じように私には理由がわからなかった。知らない間に沙都子を傷つけてしまっていたのかと思い返してみても自分の中では思い当たる節が見当たらず、どうしたらいいのか分からず日々を過ごしていた。 折角勝ち取ったループからの未来は私は見たことがないのでどうなるかも分からなかったから、ひょっとしたら沙都子とは仲が悪くなってしまうような未来だったのかもしれないと頭を悩ませ、未来を嘆いた事もあった。 いつもは一緒に行動していたのにちょこちょこと一人で行動することが多くなり、それすらも私の心を締め付ける。そんな私たち二人を見かねたのか部活メンバーの圭一、レナ、魅音の三人が気を遣い私と沙都子の間に何があったのか聞いてきた。 正直な話圭一や魅音に話しても分からないと思った。理由なんかなく、ただ「なんとなく」。 だから3人一気に押しかけてきたときはなんでもないのです、と切り上げて後にレナだけを呼び出してみることにした。 レナは鋭かった。私が沙都子に対して抱いている感情に薄々気づいていた。 だから用件を伝えるのは容易だったのだけど、レナでやっと気づいたという事は沙都子を含め他の3人は気づいていないはず。 レナの言い分だと私の考えは予想通りで沙都子も私が好きだというのには気づいていないようだった。あの子は人の痛みには敏感だろうけど恋愛感情がどういうものかまだ分かってないと思ったから。詩音が悟史を好きという程度の漠然としたものは分かっていても、魅音が圭一を好きだというのが多分理解できないようなもんだろう。ならば何故沙都子は私から距離をとろうとしているのか、今まで一緒にいながらそれが分からない自分が不甲斐なくて泣けてきた。 そんな私をみてレナは優しく撫で、私に言った。 「沙都子ちゃんを信じていれば、絶対大丈夫だから」 そう言うレナに救われた気がして素直にありがとうと言った直後の事。え?という聞き馴染みのある間の抜けた声がどこからともなく聞こえた。声の主は探さなくても分かる。だけどどうか違っていて欲しいという願いもかけて声のした方に顔を向けたら予感的中、―沙都子だった。 その佇む沙都子の表情を見たら気づいてしまった。私とレナの会話を聞かれてしまっていた、という事。 ワタシガ サトコヲ スキダ トイウコトガ バレテシマッタ 頭にその情報が伝わってからその場に佇む沙都子への弁解の言葉も出てこず、レナが一生懸命弁明しようとしていた。沙都子はそれを聞かずに嘘だと叫び、その場に倒れた。沙都子に嫌われても構わない、でも沙都子の傍にいたい!そう思うが早いか沙都子の元へ走りより沙都子を抱きすくめた。元々線が細い沙都子の身体はもっと細く感じた。 後にクラスの子が沙都子が私を探していたという事を耳に入れた。沙都子は私に何を言おうとしていたのか、それが気になった。けれどそれを聞ける日はなかった。 夏の終わり2へ続きます。
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病に至る恋 「はう~。魅ぃちゃん詩ぃちゃーん。やっぱりレナの着付けを手伝って~」 「お姉はレナさんを頼みます。私は沙都子を着せ替えますから」 「私はひとりでだってちゃんと……浴衣くらい着られますわ!」 「ほいほい、頼まれたよー。んじゃレナ、おじさんがばっちりキメてあげるからね」 「う、うん。このリボンがどうしても、レナひとりだと上手に結べなくて。はう~」 毎年八月の一日、二日と、興宮の町が祭りの舞台となる『興宮祭り』。 人々の活気と活力の坩堝。夜空に咲く幾つもの大輪の花。お神輿わっしょい……。 祭りの日になると決まって死人が出て、終いには村人二千人が一夜にして全滅するどこかの寒村とは大違い。で、その後の世界ではさぞマスコミどもの飯の種になっているのでしょうね……。 「……梨花。女の子が椅子の上であぐらを、それも貧乏揺すりまでして。……まだ昨日のことを根に持っているのですか?」 私の態度を察し、戯れる四人から目を外して羽入が話しかけてきた。 「別に……ただ着替えくらい静かに、さっさと済ませて欲しいって思っていただけ」 みんなが揃ってのこの興宮祭りを、私は楽しみにしていた。指折り数えながら羽入と、いつか悟史を迎えて、本当の全員で楽しもうと話し合って、夢にまで見て。そして迎えた祭りの一日目。 雛見沢の悪口を声高に……興宮といちいち比較をする奴らを見かけた。 比喩ではなく私は胸を痛め、そして……ひとりも欠けずに迎えたこの日を「汚された」ことに文句の一つも“言わず”、胸に渦巻くモノの囁くまま、私はその輩に殴り掛かっていた。 「この子たちとアレらを一緒くたにするなんて、仲間に対して失礼の極みなのです」 「……私がいつ、そんなことをした?」 昨日からまだどこか腹の虫が治まらない私は鬼の眼光でそのとんちきを見上げた。すると“本物”と目があった。 「梨花。女王ともあろう者が、この程度の挑発で“カッカ”するでない」 羽入が、普段は見せない鬼神の貌で呟く。 「まったく、仕方のない子だ。入江に注射を打って貰え。それとも……“私”のをソコにくれてやろうか?」 「は……ぁ…………ああっ! や……やめてぇ、あっ…………はぬ、うぅ……」 羽入の指が髪を梳き絡め……頬を撫で滑り……顎を掴んで持ち上げられた。くちびるをなぞっていた親指が口に、そして舌に爪を立てられて引っ張り出される。 「『はぬう』とは何だ、『はぬう』とは。 私のものを口にしているときの方がまだ、正確に発音しているだろうに」 「……う? ぷうウーッ! アふッ……」 「ふふ。どうだ梨花。これで“私並み”か?」 親指だけでなくもう二本、口内に人差し指と中指まで挿れられる。いっぱいにまで開かれた口の端が痛くなって、まさに羽入の射精直前のペニスを咥え込んでいるかのよう……。 早くも女の奥からぬるりとしたモノを感じ始め、私は浴衣の下の足を閉じた。 「『私』の前だと梨花も……ふふ、愛い愛い。ヲホホホ! レディとして、その恥じらいは結構なことですわ~」 「ふ……ふん…………。何よソレ……? もしかして沙都子のつもり?」 いくらみんなからこのやり取りを悟られぬよう羽入が振舞おうとも限界がある。だからか、羽入はこうして“白い方”と“黒い方”を使いわけて、まるで私のそれの様に振舞う。 「正解なのです~。というわけで、梨花も僕にはくしゅ~、なのです」 もっとも、羽入の場合は私の前で、主に“事”を「寸止め」にする為に使ってくる。でもそれは、羽入の……神の気分次第でどうとでもなるのだ。 「何でへたっぴな物真似にわざわざ……って、痛いわね! アンタのソレは拍手じゃなくて虐待って、だから痛いってばか羽入っ! アンタみたいに頭が悪くなったらどうしてくれるのよっ!」 そしてそれを私は……女王であっても止められないであろうこと。しかもあろうことか、沙都子に見られたいなんて私は、そんな想いまで懐く様になっていた。 「あう? おりこうな僕は、がってんがってんなのですよ」 「私はガッデムよ! それに合点の使い方間違えてるし!」 ……少し甘い顔をするとすぐに調子に乗る。でも、この辺は沙都子に似ていなくもない。……本当。沙都子と同じ、白い羽入ってすごく可愛い…………もうどうしようもなく、いぢめたくなる……。 「あうー! 暴力反対なのですー!」 「どの口がその台詞を宣いますのかしら……ねぇ? オ・ヤ・シ・ロ・さ・まァ?!」 こっちの羽入になら胆力で勝る私は椅子から立ち上がってプロレスよろしく、手癖の悪い繊弱な手を掴み、力比べの体勢に持っていく。 組んだ手を上げ下げして締め上げていると、耳が魅音とレナの話し声を拾った。 「リボンが二つに、襟元になんてフリルがずらっと付いてるし。この中ではレナのが一番凝ってるよねぇ……。婆っちゃてレナには甘いから、贔屓を感じるなー」 「えー? 一番っていうなら、レナは梨花ちゃんと沙都子ちゃんのだと思うな。ねっ、梨花ちゃん」 レナの目にはそう映るのか。 彼女に釣られ魅音も、こちらをしげしげと見つめてくる。ふふん、悪い気はしないわね。 「そう言われると……って、あ。二人のってさ、色違いのペアルックっぽいよねー。 襟元の白いぼうぼうしたのと、帯のところのパールが年寄りくさくてアレかなと思うけど。でも、それもさ、タヌキな梨花ちゃんと沙都子に合っていて――」 「……お黙り。たれぱい星人」 「……ぷえっ?! り、梨花ちゃん?!」 「はっ……はうー! 黒梨花ちゃん、かぁいいよ――う!!」 ふん、年寄りくさいのが似合っていて悪かったわね。 おじさんのあなたにとやかく言われるのは沙都子だって、はなはだ心外でしょうね。 羽入の手を放してやり、目をそちらに向ける。 沙都子は風呂に入るわけでもないのに半裸でどったんばったん。未だ詩音と着替え中らしい。…………ホント、この世界の詩音は沙都子と仲の宜しいこと……。 「なんでかな?! なんでかな?! 梨花ちゃんに近づけないよー」 「……僕と同じモノを張らない限り、レナは僕たちに接触できないのです」 レナの突進を受け止めるべく、前へと突き出された羽入の白い手。その手首ではためく袖口にはフリルが、それが桜色の生地の二の腕部分にも飾られている。帯は、詩音の橙色の物と同じ結びのすみれ色のリボンで、これも同色のドレスのスカートじみた腰巻きを締めていた。浴衣にスカートってどうよ? お魎のセンスってひと回りして、ファッションの最先端にでも来ちゃってるんじゃないかしら。 羽入の浴衣共々、彼女たちの衣装はお魎が手掛けたとかで、それぞれがとにかく個性的。私と沙都子の浴衣もそうらしいのだけど、魅音とレナの感想とは違う印象を私はこの浴衣に感じていた。 悪い意味などではないが、同じ人物がデザインした物とは思えないのだ。……ああ。印象といえば昨日の、この四人に向けられる多くの熱視線が印象的だった。 見てくれは良い四人の少女が、メイド・イン・お魎の浴衣を着こなしているのだから、結果は然もありなんだろうけど。巻き込まれるこっちも楽じゃないわよね……。 雛見沢の綿流し祭ではそんなことはないのだけど、他所から来ている人間の方が多い興宮祭りではただそこにいるだけで軟派な男たちから声を掛けられ、店先に並べば格好の宣伝となる彼女たち。 どこかの雑誌社からの取材やらちょっとした写真撮影やらが舞い込んで……特に詩音とウチの浮かれポンチのおかげでいつの間にか歌まで歌ってたり……。でもまあ、そのおかげでギャラ代わりとしてに、出店の差し入れでお腹を膨らますことができたのだけど。 今は夏休みだから明日からゆっくりできるとはいえ、今日は少し落ち着いて祭りを回りたいところだ。隙を見て沙都子なり羽入、じゃ逆効果か。…………赤坂が遊びに……なんてことは……娘の、美雪の夏休みで、あ、まだ小学校には上がって…………幼稚園に夏休みってあったっけ……。 「魅音といいレナといい~、ろりばばあな梨花も、赤坂のこととなるとグズグズで煮え切らない態度が観ていてキモカ――」 「神様のくせに、そんなスラングを使うな! それにああっ、赤しゃかと私はバリケ……でっ、デリケートな関係なのよっ!」 「ぷひ。梨花が噛っみ噛っみで可愛いのです」 「ぐっ……きい――っ!! 人からその笑い方されるとすっごくむかつくっ!」 『おーい、お前たちー。まだ着替え終わらないのかぁ~』 私の大声に反応して、部屋の外で待っていた男連中がとうとう音を上げだした。 部活メンバーは今回の興宮祭りを遊び倒そうと祭りの数日前から現地入りして、この詩音の隠れ家のマンションにやっかいになっていた。 何人か葛西みたいのが住んでいるけど……だからか、空き部屋はたくさんある。なので一人一部屋が宛がわれていた。 なるべくお小遣いは使わずに、その分を祭りではっちゃけ代に回し。でもせっかく興宮くんだりまで来たのだからセブンスマートで買い込んだり、プールにゲームセンターで爆闘もしたりして過ごしたりして、あの山狗たちとの決戦以来、羽目を外して遊んだ。 訳あって沙都子とも間に張っていた“膜”を退けようとしたのも祭りを控えているからだろう。だから……それでしばらくは“持つ”と思ったのに……。 『早くしないと、ここで俺たちだけで『祭り』をおっぱじめちまうぜ~?』 「あー、はいはい。もう少し待っていてくださーい。ほら沙都子。さっさと脱ぐ脱ぐ!」 「……あの、詩音さん。本当に、浴衣の下はその……下着、を着てはいけませんの……?」 ……なんですって? 「当然です! ほら、私だって……」 当然なわけないでしょ! 「……っ?! わわ、わかりましたから見せなくてもよろしいですわよ!」 詩音のその短すぎる裾を捲り上げる様を見せられて、沙都子が赤面して目を逸らす。 『おっ……岡村ーあ! 今の聞いたかっ?』 『うっ……うん! 梨花ちゃんもは……はいてないといいなっ!』 ンなわけないでしょ! って言うか二人とも、えらい地獄耳ね。 「はうー! 羽入ちゃんのA〇T.フィールドかぁいいよ――う!!」 A.T〇フィールド言うな、鉈女。 「あ、ううっ? くっ……亀裂、が……壁が破れそう……なのですっ!」 「……固有結界による中和、いや……侵食か。ちっ、化物め!」 羽入の背中を支えながら、私もそれっぽくノってみた。 「あうあうあうあうーっ! 僕に向かって『化物』は、マル禁わーどなのですーっ!」 「付き合ってあげたのにボケ返された?!」 「あははははははははははははははは!!」 「受け過ぎって言うか、なんでオヤシロモード?!」 「はあああ…………ウ――ッ!!」 「あうーっ!」 「きゃあっ!」 レナが咆哮と共に両手を左右に開くと、とうとう不可視の壁が引き裂かれた。その衝撃で羽入が押し退けられ、後ろにいた私もいっしょに吹き飛ばされた。 「れっ、レナ?! あんたも下着穿いてないの?!」 レナ、おまえもか! 詩音同様、超ミニな裾が捲れたことで魅音もレナの痴態を目撃。私の胸の内を代弁し、嘆息した。 「今こそ、はにゅりかちゃんをおっ持ち返りだよぉぉ――――おおおおっっっ!!」 今どころか、現在・過去・未来永劫、あなたのそのお持ち返リズムは治まらないでしょうね。 それと、私の上で伸びているのとを繋げて『はにゅりか』呼ばわりされるのって、なんか微妙に嫌。村でなんだか流行っているみたいで、それ聞くと羽入がヘンに喜ぶし。 さとりか……りかさと…………。 どっちでもいいけど、どうせならそっちの呼び名が流行ってくれたならいいのに……。 「……とうっ!!」 「あ゙ゔしゅ!!」 ふと浮かんだ望みを頭を振って戒めて、私はベッドに向け羽入の胸をジャンプ台にして飛び移った。 「はうっ? はううっ?!」 目算通り、レナの首が左右に振られ、その間隙を衝いてプランチャー! レナの顔面に捕り付き、スカルクラッシュもとい顔面ハグに成功! 「落ちなさいレナ。私の胸の中でね……」 「はうっ! うぅ……」 耳に口を寄せ、熱っぽく囁いてからそこをひと舐め。耳朶を口に含み、歯を立ててレナを無力化させる。くすくす……相変わらずレナはココが弱いのね……。 そして膝からレナが崩れる前に重心をベッドのある方へ傾け、レナと共にシーツの上に倒れ込む。 「くふっ……ぅ」 「ふあんッ?!」 その弾みでレナの頭が私の腹にめり込み、私は堪らず口から強く息を吐き出した。それがちょうどレナの耳に吹き込まれたものだから、レナも堪らずに高い声を上げた。 私はその声に、腹部の嫌な痛みに甘いもの……何時かの雛見沢でのレナとの情事を思い出した。それも束の間、部屋の外から怪しげな呟きが聞こえてきたせいで私は呆気なく、現実に引き戻された。 『鈴羅木か〇んさんのレナはどれもこれも、はいている様には見えないだろぉ……ハアハアハア、ソコが痺れる憧れるウッ!』 私もそう思うけど! よりにも今、レナをズリネ……オカズにするんじゃないわよ! 『〇太さんの、白いブーツを履いた北条が可愛いすぎて僕っ……ウッ!』 ……くすくす。富田の早漏。でも、私だってあのミニの浴衣の中に何度、頭を突っ込んでみたいと思ったことか!! 『りっ! 梨花ちゃんだけでも嬉しいのに、羽入ちゃんまでぼぼ、僕のことが好きだったなんて、どうすれバインダろぉ……ハアハアハア、ウッ!』 ないないないないっ!! ナニそのトンデモ妄想?! 岡村、アンタ湧いてるっていうか絶対L5発症してるから! 「梨花といえば『髪コキ』だろぉ……はあはあはあ、あうっ!」 「…………ぎぃっ?! ヤ゙あ゙っ!! ここっ、こンのバカ!! アンタまでナニ盛ってんのよっ! ……ゔっ! か、髪が重い゙! って、レナもちょ……あン! どこに指、を……うンッ!」 「むがっ?! なんですのこの臭いは!」 「は~う~。ダメだよー梨花ちゃん。レナとこうしてぇ~…………みんなのお着替えを待ってなくちゃメっ☆ だよ」 レナがタコの如く私の体に絡み付いてくる中、生着替え中の沙都子も鼻声で苦しんでいた。 「ちょ、詩音。私も脱ぐから……ああっ……パンツが伸びちゃうし生臭っ!」 「……溜まりに溜まった悟史くんの、みたいな…………あぁ、イイ匂い……」 「……賛成三、反対二ということで……らうんどぅつぅ、ふぁいと! イッぱーつッ!!」 「私も反対の方に入れなさいよっ!!」 今までキャッキャッウフフとちちくり合っていた彼女たちもこの臭いに……約三名ほど逝きっぱなしだけど、他は我へと返って窓を開けていった。すると雛見沢ほどではないもののひぐらしの声が、熱気と気の早い祭りの音頭を伴って部屋へと流れてきた。 羽入のせいで髪がべったべた……。早く髪を……お、重ひ。 懲罰用のキャンディを口に放り込んで、未だに私の腰にしがみ付くレナをどうにかする方法を考えるふりをしつつ、私は仲間たちを見渡した。 羽入の残香に対し、魅音と沙都子は扇風機と雑誌を懸命になって振り回していた。そんなふたりを手鏡越しに、詩音はブラシで髪を梳かしたり、くちびるを小指でなぞってぐぎゃ! と、グロスの乗りと詩音スマイルの確認をしていた。 彼女たちは陽気に暢気に、年頃の少女らしい姿を見せていた。 レナの弱点は割れている。だから私はあえて、レナの愛撫に身を任せていた。いたのだけど、思うところがあった。 私だって年頃というか、まだまだこれからなのに……。なのに、この爛れた性癖ってどうよ? こんなだから羽入なんかに付け込まれるのよ! 沙都子を見習いなさい、古手梨花っ! 「……レナ。いい加減にしなさいよね……」 私の体を好き勝手にいじくり回していたレナの手をむんずと掴み、自分のと重ね合わせて手ぐしとして、髪に付着した精液をこし取っていく。ぼとりとベッドのシーツに落ちた固まりと、私たちの手ぐしのモノをティッシュで拭ってゴミ箱へ。 にが……。 再度レナの耳を噛んで骨抜きにした後、つい指に付いたモノを舐めてしまう。それをぺっ、と吐き出して残りは……くすくす。ぐりぐりぐり……と、レナにお裾分け。 「…………っ!」 …………沙都子? 羽入の断末魔を耳にしながら髪を洗いに台所へ向かう途中、何とはなしにそちらを向くと……沙都子に目を逸らされた。 「沙都子! もうここは破棄しよう。レナは、自分で立てそうかい?」 「はう~。梨花ちゃんもいないし、それに何だか鼻の中がすっごく生臭いよう……」 「破棄って、私の部屋は汚染区域か何かですか?」 開け放った窓をそのままに、魅音はレナに肩を貸して、みんなに部屋を出る様に指示を出していた。 「……向こうから見えないからって、挿れてくるんじゃないわよ」 ご機嫌伺いか、あうあうと私に付いて来た羽入が涙交じりに、温水シャワーのノズルを適当な位置に当てた。 「あう……。さっきはその……つい圭一たちの萌えに、釣られてしまったのです」 「……そうなんだ。それはそうと…………私の足に当たっているコレは一体ナニかしら……?」 「……あう! 道理でおちんちんが気持ちイイと思ったら……! 梨花のお髪を洗っていたからじゃなかったのですね」 本当の馬なら可愛らしい仕草なのだろう。 その腫れ上がっている馬並みの横っ面で、浴衣の上から腿にぴたぴたすりすりと頬擦りをしていた。そのたびに黄ばんだ先走りが竿の先から腿とに糸が引いていて……つまり、いつもの様に羽入が私を欲していた。 口の中のキャンディがすっぱい外面を舐め終えて、甘い核を現してきた。 「……そんなにブチ込みたいなら私が直接、味あわせてあげる……」 床が水浸しになるのも構わず、私は洗面器から顔を上げて羽入と向き合う。遅れて、濡れた髪が彼女の首に巻き付き、まずは緑の抱擁を仕掛ける。 「ぁ……あうぅ…………梨花ぁ……」 「……まだナニもしていないのに、なに? その貌は……」 「……あ?! あっ、むぅ……ふにゃ…………んあう……」 頭を抱きかかえ角を掴んで抱き寄せて、そのふやけ貌の半開きの口にキャンディを押し込んだ。 「んっ! ンうぅーッ?!」 私はそれで終わりにしようとしたのだけど羽入はそうではなく…………あはは。自分から誘っておいて、何を言っているのか。 嗚呼……沙都子。私を…………ううん。やっぱり見ないで……。 くちびるを羽入に許し、閉じた目蓋の裏に先の沙都子が浮かび……涙が一筋、まなじりから流れた。 後ろは流し台で下がり様が無く、土俵際の力士の如く海老反りになって羽入のされるがまま。口の中の唾液を吸い尽くされ、舌も羽入の口の中にそっくり飲み込まれていた。 羽入の胸はすでに浴衣から零れていて、その巨塊をぐにゅぐにゅとこねくり回して私の胸を愛撫。 「うあっ! はあっ、んっあ! は……つぃ…………」 「ああ……あうう! 梨花のすべすべおっぱい……き……ぃ…………気持ちイイのです……」 同時に己の性感も高め、口が離れた拍子に心境が言葉となり、羽入の動きに興が乗り出す。上体をくねらせて、こんなときばかりは器用に、私の浴衣を脱がしても見せた。 「あうあっも……っ! イッ……ウウッ!」 「――んっ? んんッ!!」 再び鯉口じみた口に塞がれ、羽入の口撃が再開。吐息も熱く、だから鼻から抜けるそれも私の頬を嬲り、激しく炙ってくる。 ……あっ? ああっ、ンっ! く……喰い込んでくる! ふとももが露出するほど裾を捲られ、ショーツの上から「羽入」が宛がわれ突き上げられ揺すられて……ショーツごと「私」の中に巻き込んできた。 破瓜だけは止めて……。 赤坂への想いを捨て切れずに……。だけど、それもいつまで持つ、かアッ! ああぁ……。 「あれー? はにゅりかの二人はどこいっちゃったんだい」 は……羽入、お願い……。離れて……。 魅音の声に、私は声無き身で羽入に訴えた。だけど羽入は構わずに力を込めて「私」の中に鉄火の「その身」を思い切りめり込ませると……「私たち」にそのときが訪れた。 あっ、あっ! 羽入ううぅぅぅうううっ!! ……アうっ! う……ぅうううう――っ!! お互いに、私と羽入は相手の内に向けて愛を吼えた。 あっ…………熱い……。 「羽入」が吐き出した精液が弾け、私の内股に大量にぶち撒けられた。 「あうう……。梨花のせいでまたこんなに出ちゃったのです……」 「うぷっ? やっ、はあっ!! うっ? ぷっ……あぴゅうっ!」 口が解放されるも今度は、てのひらに盛られた精液を喉に流し込まれた。いっそこのまま羽入に、この状況に溺れてしまおうかとも考えるも耳は違った。 「ふむうっ、うっ……んぐっ…………んっ、んぐっ……ん……」 この台所に近づく足音を聞き逃さぬよう唾液を多く混ぜて、音を立てずに精液を飲み込むことに努めた。その甲斐あって、この台所に来る気配と、玄関へと向かうかしましい声の中に沙都子の声が無いことがわかった。 「んン……ん……あん……ンぐ……ん……」 「……やっぱり、おちんぽみるくを飲んでいる梨花の貌は格別なのです……」 なら……沙都子は今、何処にいるの……? 私は目を思い切り下に向け、足も使って羽入を退かし台所の入口を見た。 そこの影には、空色の振袖から覗くレース。それと…………。 私の視線を感じ取ったのか、すぐに翻ると音も無く気配が遠ざかっていった。 「……また見られたか」 再び私に覆い被さってきて、羽入がしたり顔で呟いた。 「これで沙都子の方からも、自然と私たちに『壁』を張ってくれるだろうて」 「ぁ……っ。ぅっ……ぁ!」 あらわな胸に羽入のくちびるが滑るも私は口を閉ざし、出掛かる声を押し殺す。 「健気、と言ってあげても良いが、我慢は体に毒だぞ。だからそれ、梨花の内の鬼がまた気色ばんでいるぞ」 「…………早く……退いて。羽入」 「案ずることは無い。あの子たちが来たら、私が如何様にもこの場を捌いてやろう」 「――くアッ! あっ、ああ……ぁ……ん、んんうぅ!!」 ショーツがずらされ、後ろの穴にその巨根をねじ込められた為、健闘虚しく声が洩れ出てしまう。 「さ……沙都子が泣いていたの、よ……」 「沙都子ならすぐに乗り越える」 「圭一に盗られちゃう……!!」 「それも梨花の望みの一つだろう」 「それは貴女の望みでしょう!!」 「そうだ!!」 「あんんっ?! ふう……っ、ううっ……ンっ! んンンンーッ!!」 羽入が私の口を塞ぎ、水掛け論にけりを付ける。そして上と下から、私の中に熱い体液を流し込んでくる。 沙都子の誕生日にどちらからともなく思い立ち、そして私と羽入は実行に移した。でもひと月もしない内に物足りなさが募ってきて……。 「あ……あ。さ……沙都子、ぉぉ……。もっと出して……ナカに……沙都子…………」 「入江でもいいのです……。 これで沙都子が男性に引かれていくのなら……。 これから沙都子離れしようと決めた僕たちにとって、それが一番の選択肢なのです……」 腰砕けになって崩れ落ちた私の口の中に硬いままのペニスを挿れ、羽入がまだ囁いてくる。 「そして、沙都子が“遠く”なった寂しさをふたりで……僕と梨花で慰めていくのですッ!!」 「う、ぶうっ? う、ぐぅ……うっ……ぶふっ!! べほっ! げふっ! ん……ん、ン……ぅ、ん……じゅ、んあ……。じゅ……ちゅう。ちゅちゅう…………」 「うあアっ! あうううぅー……」 大して腰も振らず、挿れたばかりの一物が射精。呆れるほどの量を、私は多少は零すも管の中のモノも吸い取って茶番にけりを付ける。 また沙都子に抱かれる幻を見るも、圧し付けられる胸の柔らかさと、何より男性器で貫かれるという女同士では在り得ない状況に目が醒めることができた。 「……早くあんたも、そのデカブツを引っ込めて、支度をしなさいよ…………」 ぐるぐると下りだす腹の痛みと吐き気を堪えて、私は台所を後にするべく浴衣の前を整える。 (……僕は独りで、先に行っていようと思いますのです……) 「……いいの?」 流石に疲れたのか、お返しに腰砕けにしてやった羽入はふらつきながら立ち上がった。わかってはいても、未だ情事の微熱に喘ぐ様はさなぎだに手を差し伸べたくさせる。 「さっきも言った様に、我慢は体に毒なのですよ、梨花。 ですから梨花は今日も、沙都子分を補給してくるといいのです~」 今の梨花には、沙都子が一番の薬なのです。 そうも付け加えて、浴衣を着た牛女は自分の肉塊の先端を口に含んでちゅうちゅうと、自己搾乳をしながら私の横を通り過ぎていく……。 「……別に、沙都子とはいつだって会えるんだから…………別に? 私は純粋に祭りが目当てなんだから…………沙都子はその……ついでよ」 (ぷひ。出たのです出たのです梨花のツンデレ♪) 「べべっ! 別にツンデレってなんてないわよ! って言うか、そのでかぱいも仕舞いなさいよッ!!」 沙都子のあの張りのある胸を吸う…………未成熟な喘ぎ声を聴きながら……。 (…………いきなり鼻血を噴いたりして……。一体梨花はナニを想像しているのですか……?) 「う……うるさいわね……っ」 あんたのそのたぷたぷという耳障りな音に気分が悪くなったのよ、などという苦しい言い訳は、揚げ足を取られそうなので言わないでおく。それに気分が悪いのは本当で……ぅ……。も、吐きそう……。 (白と言われたら 黒だって言いっちゃう 素直になれない ツ・ン・デ・リカ♪) 口を手で押さえ、無駄に上手い歌声の放蕩女の脇を文字通りすり抜け、脱兎の如くトイレに駆け込む。その直前に、玄関先の魅音に何か言われるも無視、まずは上の欲求を吐き出した。 数時間前に摂ったお昼が精液と混ざって、何ともいえない臭いで便座の底に堆積し、それらが呼び水となってさらに嘔吐物の嵩を増していった。 「梨花ちゃん、大丈夫かい?」 できたら……今は放っておいて欲しい。 小さな声で控え気味に心配してくれる魅音の気持ちは頂いて、トイレの前から離れて欲しいと切実に願う。 「これだか、ら……羽入の相手は、ぁ…………つ……疲れるの、よ……」 力無い愚痴を、人には聞かれたくない音と共に、水洗のコックを捻って水に流す。 「……梨花ちゃん、羽入ちゃんにフラれちゃって、かわいそうだよ……だよ」 相手が女にも関わらず、魅音の説明を聞いて、レナはなぜそういう解釈をしてしまうのだろう。口に手を当てて走っていく女性がみんながみんな、振られ女などと…………ああ。レナなら考えそうだ。 「違うよレナ。梨花ちゃんでも、あの日が来たんだよ」 ヲイみおん……。ナニその「梨花ちゃんでも」の「でも」ってのは。初潮の訪れと胸……体の成長具合は年齢等、個人差があるなんて常識でしょうっ! いくら胸が大きくてもねぇ、沙都子みたいにまだ来てもいなければすじで無垢な子なんて“ざら”! 普通なのよ!! だから私だってすぐに……! 「うわ~……。ふたりしてドア越しに、ちびっこのブリ音を聞くなんて、いいシュミしてますねー。いい機会なんで、あとで圭ちゃんにチクっといてあげます」 「ちっ、違う違う! ごごっ、誤解だよ詩音! これは……」 「はう……。梨花ちゃんのウ〇チの音、かぁいいよう…………はぅ……」 「レレレっ?! レナあーっ!!」 ……ぁ、ああ……いや…………。 「なるほどなるほど。 じゃあ、今夜からはそっちのプレイも取り入れますかねー。だったら手始めに玄関の扉の掃除をやらせて、臭いに慣れさせるか……」 「んんっ……! ウッ、うンっ! あはぁあ……あう、ンッ! あ……はぅぅ……」 肛門、その内壁が数珠繋ぎのモノに擦られる刺激に高められ、呻き声が止められなくなってきた。 ドアの前にいた三人がいなくなり、楽に……イきたい私はソレをアナルパールだと思い込むことにした。 両足首を便座の根元に引っ掛けてガッチリとしがみ付き、残りを力を込め思い切りひり出した。 「んっ!! ンウーッ! ンンううーっっ!! 沙都子おおお…………ッッ」 水気のある音が便座内で爆ぜ、籠った爆音が小さな室内に響き鼓膜が辱められた。尻の穴に走る痛みをも快楽に、私は沙都子の手でアナルパールを抜き取られる想像に、浴衣の裾を咥えた口で小さく絶叫した。 続く TIPS ひとりぼっちの夜
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初めは些細な好奇心だったと思う。 そりゃあ俺だって年頃の男子なわけで。 同じ年代の女の子が――ここでレナたちは対象外とする――どんな生活をしてるか気になるのだ。 別にいつご飯食べてーとか、いつ風呂入ってーとか、そんなんじゃなくて。 あぁ、もうだから。彼氏とか作って、恋愛に身を注いだりするのかなって話だ。 興宮の学校に行っている詩音なら。男女の壁を越えて友達の輪が出来てしまう、雛見沢に住んでいない詩音なら。 そんな思いに駆られて、詩音に俺は「詩音って彼氏いるの?」って質問をしていた。 俺にとっちゃ、別に詩音に彼氏がいようがいまいが、関係ないことであった。 沙都子の面倒を見る良き姉のような存在。その為に毎日うちの学校まで来るのだから、俺は彼女を仲間と疑わない。 それでもどうも、興宮は雛見沢よりもはるかに進んでいるイメージがある俺には、俺のような歳でも恋愛をするのか疑問に思っていたのだ。 詩音は少しの間俺の顔を見つめて、そっと視線を下に落とす。 ちょっとだけ考える仕草をしたのだが、「イエス」か「ノー」しかないはずの質問に、なんで考えるのだろうと、俺は疑問に思った。 「好きな人――――はいますよ」 少しだけドキリとする笑顔を見せて詩音は言う。 きっとこれって『片想い』ってやつなんだろうなぁって感想を持ちつつ、俺は更に深追いを敢行した。 「どんな奴なんだよ、サッカー部の部長とかか?」 それ圭ちゃん、マンガの読み過ぎーって突っ込みを入れられて、詩音はまた無言で目線を俺から外し、何もない正面の空間を見つめる。 いつの間にか表情が、笑みと言うよりかは、哀愁のこもった顔となっていた。 「サッカーじゃなくて野球やってましたけど……」 咄嗟に浮かんだ、某超究極甘党のニキビ坊主の顔を頭の中で消しつつ、詩音の続きを待つ。 「圭ちゃん……、悟史くんって知りませんか?」 「悟史……。あぁ……」 確か魅音が部活で使う推理ゲームのカードに、『悟史』と書かれているのを俺は思い出した。 まだ部活に入って数日のこと……。 綿流しも終わった今となっては、かなり懐かしい気もする。 だって綿流しの日は俺の人生で、最も濃密な一日だったのだから。 思えば、あの日を境に俺を取り巻く環境――――、いや、魅音を中心として何かが変わった気がする。 最近どうも魅音が俺を避けるようになったと言うか……。 対照的にレナたちが急に、俺と魅音を残して帰ってしまったりだとか。 驚いたのは園崎本家から直々に、俺へあのばかでかい屋敷に招待されて夕食を馳走になったことだ。 あの時の茜さんとお魎ばあさんは上機嫌だったな……。 まさか未だに、委員長の話の勘違いから始まった、俺と魅音が結婚するとかなんとかの話を引きずってるのだろうか。 「悟史って、沙都子の兄ちゃんだよな。転校しちゃったとか聞いてるけど、へぇ……じゃあ遠距離恋愛ってやつかぁ」 「遠ければまだ……、救われるんですけどね……」 え?、と俺が聞き返しても、詩音はそれ以上口を開かなかった。 どうやらあまり聞かれて欲しくない想いだったらしい。口は災いの元。これ以上聞くのは危険なのだろう。 口先の魔術師はこれ以上の詮索をやめて、詩音と共に彼女のマンションへと無言で歩き出した。 圭ちゃんに送られてマンションへ戻った私は、ひどく不機嫌となっていた。 理由は……分かるんだけど、何で不機嫌になるか、その過程が分からなかった。 最近流行のブラックボックスってやつなのかなぁ、と思考を巡らせる。 AがBになるのは分かるんだけど、どうBになるかが分からない。 「ハウなんだよね、ハウ」 と、傍目には分からない独白をして、私は枕に顔を埋めた。 遠ければ救われる、と私は圭ちゃんの前でぼやいた。 それは『諦める』とか『どうしようもない』と言う気持ちが生まれるからだ。 会いたいと思っても、私とそのカレとの距離という問題が、私の中で決定打となる。 手紙を書けばいいだろうし、電話だってかけられる。 ――――だが、私は別に会えない訳じゃない。 訳じゃない、なんて困難さがあるんじゃない。雛見沢に行けばすぐに会える。 だけど手紙を書こうが、電話をかけようが、悟史くんはなにも返事をしてくれない。 私は話しかけることすら許されておらず、ガラス越しに眠る悟史くんを見つめるだけ。 見つめるだけ。と言うのがどれほど苦しい感情なのか、他の人はご存じなのだろうか。 一日何も飲んでいない人の目の前に、コップ一杯の水があるとしよう。 あなたは卓袱台の前で正座し、そのコップを眺めて乾きを潤す想像しか許されない。 これならば無い方がまだ意識しないで済むのに。 しかし一度存在が目の前にあることを知覚してしまったら、目をつぶってもコップは消えてくれないのだ。 「圭ちゃんのバカぁ……」 傷を掘り返されて、かさぶたさえ出来かけていた私の気持ちは、再び落ち込んでしまった。 こんな時の対処法を…………、私は既に学んだ。 私は自分の居間の扉を開き、玄関の所で靴を履く。 鍵は持たない。そんな時に行く場所と言えば、私にとって一つしかない。 玄関を出てたったの数メートル。私の付き添いを任されている、葛西が住んでいる部屋のチャイムを鳴らす。 「葛西―、詩音―、開けなさーい」 静かな物音が鳴ったと思うと、葛西は躊躇もなく扉を開けて私を見据える。 疑うことを知らないのかこいつは。と思っていた時期もあったが、疑われても葛西との交流が面倒になるので大いに結構。 むしろ既に夜の十時を越えているのに、普段来ているダークスーツを未だ纏っていることを、私は結構としてはいけない気がする。 「詩音さん……、何のご用ですか」 低く芯の通った声は相変わらず。 最近こうやって部屋を訪問するのはなかったので、サングラス越しで少し戸惑っている目をしているのに違いない。 …………そう言えば、こいつはもしかして部屋にいるときもサングラスをしているのか? 「んーちょっと相談がね。聞いてもらいたいことがあってさ」 承諾の返事も聞かないまま、私は葛西を押しのけて靴を脱ぐ。 ある意味暴挙ともいえる行動にも葛西は無言で私を通す。 不満さえ覚えるはずだろうに、彼は本当に私に尽くしてくれている。 やはりかあさんの面影を、私に抱いているのだろうか。 それはショットガンを使いこなす裏の顔の、更に深いところにある葛西の顔のような気がした。 「それで詩音さん、相談とは」 部屋の主であるはずの葛西が立ち、半ば不法侵入の私はフローリングが剥き出しの居間に座る。 私がソファに手を差し伸べると、葛西は一礼してから腰を落とした。 「葛西に正解を言ってもらいたいんじゃないんだけどね」 そう、最初に前置きしてから、私は今日の圭ちゃんとの会話。そして自分の心の不甲斐なさを語る。 感情的にならないよう冷静に、あくまでも淡泊に私は言葉を続ける。 葛西は殆ど圭ちゃんのことを知らないに等しい。だから私は本当に解答が欲しいのではない。 この問題は1やエックスからなる数学の問題ではなく、多種多様の返答がある道徳なのだから。 時間にしては数分程度のことだったと思う。 それでも私は、一時間以上もやもやとして頭にくる原因が、すっきりとした感覚を覚えた。 ストレスは溜めるからこそ不快の根元となる。発散さえすれば、何も恐れることはないのだ。 その発散の仕方が、私はただ平和的なだけ。学んだ、とはそう言うことだ。 葛西は一度も私に相槌をせずに、じっと私の方へと顔を向けていた。 頷きもせず、顔をしかめたりもせず、至って中立の立場で私の話を聞いているようであった。 私が話し終わって、カーテンも閉まっていない窓の奥を見始めても、葛西の口が動くことはない。 数分は経ったと思う。 葛西は詠うように喋り出した。 「私はどんなことがあっても、詩音さんが選んだ道を支持します」 それは姫に仕える騎士のような忠誠心。 「間違った道であるなら諭しはしますが、それでも詩音さんが選ぶなら私は従います」 それは主人に仕える執事のような冷静さ。 「詩音さんは考えすぎな面もあります。でも今のあなたには一人で考えるのを許さない友人がいるのでは」 それは村を見守る神のような荘厳さで、葛西は口元を弧の字に和らげるのだった。 あなたが話す相手はもう私ではない。この興宮にあなたが居る意味などない。 重厚な葛西の声が耳を通して脳に行き渡り、凛と響く意が私の心を満たしていく。 壁に掛かっている時計を見る。 短針は10、長針は4を指していたが、私は雛見沢に出発する準備をするため立ち上がった。 「葛西、今から車を出せる?」 「承知」 向かう先は…………園崎家に居る園崎魅音のもと。 お風呂から出て上がり気味の体温を、初夏の夜が優しく包み込む。 未だ残るすねの擦り傷をさすりながら、私は三日月の月光を庭先で浴びていた。 家事手伝いの佐智子さんが置いていったスイカには手をつけず、ただただ眠気が来るのを待つ。 最近はこうやって呆然と風景を眺めるのが多くなっていた。 受験生であるのだから、実を言うとうかうかしていられないのだが、やはり私に勉学は向いていないらしい。 やる気を起こそうとしない、ってのは本当受験生失格な態度だと思う。 「圭ちゃんに教えてもらった方がいいのかなぁ……」 どうなんだろう。それは充分圭ちゃんとぎくしゃくした――――否、ぎくしゃくさせた関係を修復する手段になるだろうか。 最近の私はとにかく変だ。 部活中でも圭ちゃんと目が合うと、体温が上がってしまう。 圭ちゃんが私の弁当に箸を伸ばすことも気になって。 そして圭ちゃんがレナや沙都子と世間話するのさえ、圭ちゃんを許し難い気持ちになる。 だから私が何かしらの行動をすればいいのに、私が一方的に避けてしまって圭ちゃんも最近は自分から話しかけなくなった気がした。 別に明日から劇的な変化を望んでいる訳ではないのだ。 ただ、綿流しの前のように普段通り接せればいいだけ。なのに私は踏み出すことを躊躇ってしまう。 「本っ当、私は不器用だわぁ……」 神にでも報告するように独り言を呟いてみるのだけど、だからって慰めてくれる何かが居るわけではない。 「そうですね、お姉は正真正銘の不器用な女ですよ」 「え? へ? 嘘」 おいおい待て待て。たかが地方の村レベルで広い家に遊びに来るほど、神様って気軽な存在なのか。 いや、むしろ私をお姉って……。あぁ、そうだ。混乱するな園崎魅音。 私はこの声を誰よりも知っているではないか。 「あんった、そこでなにしてるの!?」 婆っちゃに聞こえない程度の怒鳴り声で私は侵入者に声をかける。 詩音は庭の奥の草むら、もとい幼い頃から使っている抜け道から姿を現した。 「はろろーん、お姉、なにたそがれてたんですかぁ?」 「あんたこんな時間に何で来るのよ……、もうちょい早かったら婆っちゃと鉢合わせてたよ」 お風呂に入るまで私は、そこの縁側で婆っちゃと座ってたのだから、もしそこで草むらから我が妹が登場したら……。 修羅場で済んだらラッキーって感じだろう。 「ありゃ、そうだったんですか。これからは気をつけますね」 これからって、こんな時間にいつも来られたら、それはそれで危なっかしいんだけど。 そんな不満を喉の辺りでもみ消して、私はため息をついた。 婆っちゃはこの時間なら寝てるだろうし、興宮から来たのだろうから葛西もいる。 別にすぐに追い返しても得となることは無いに違いない。 「それで…………どうしたの?」 「んー、なんですか? 姉妹って理由もなしに会ってしゃべっちゃいけないとでも言うんです?」 「茶化さないで。少なくともあんたはそうでしょ」 皮肉たっぷりの笑みを、私は詩音にプレゼントしてやる。 詩音はと言えば、私の更に上を行くシニカルな笑みで返してきた。 元が同じなんだから、私もあんな笑みが出来る筈なんだけど……。 多分詩音とは、顔の筋肉の使い方が違うに違いない。 「ほら、ここ座って。スイカもあるから、塩でもふって食べたら?」 婆っちゃがそのままにしていった座布団に私は視線を送る。 詩音も跳ねるように縁側に向かって、サンダルを脱いであぐらをかく。 うむ、やはり詩音の中で何かがあったらしい。 気づきにくいことだとは思うのだが、いつもと微妙に振る舞いが明るすぎる感じがする。 それは血が最も近い私だからこそ分かる、第六感のようなものだと思う。 自分を強く見せようとする、と言うのは、私も詩音もきっと似通った点なんだろう。 沈黙が流れるのを私は別に戸惑わなかった。 彼女がわざわざ本家にまで足を運ぶ事態だ。まず沙都子のカボチャ嫌いレベルの話ではない。 電話を使わないことをとっても、結構な長丁場になるのも覚悟が出来ている。 だからこそこちらから話しかけるのは、彼女の気持ちを何も考えていないことだと思う。 私も相談したいときは、まず自分の中で整理をしてから切り出したいだろうから。 私が沈黙の間あれこれと相談内容を想像していて数分。詩音の口から出てきたのは、意外な人物の名前だった。 「なんかねぇ、圭ちゃんのことがよく分からなくなっちゃって……」 Kちゃん……?なんだ、Kって。葛西にはさすがにちゃん付けしないだろうし。 興宮でと言ったら、タイタンズの投手が確か亀田とか言ったような……って。私は一体全体何を理由に現実逃避しているんだ。 『ここまで来て相談する理由』に圭ちゃんの名前が出てくるのは意外だった。 詩音は昼休みになったら雛見沢に来るから、当然圭ちゃんとも面識があるし、そこそこに付き合いもある。 部活メンバーほどではないにしろ、裏を返せば部活メンバーの次くらいに圭ちゃんと親しい存在だろう。 だけどあまり圭ちゃんと詩音と言う組み合わせは正確ではなく、あくまでも複数人数のグループの中に二人がいると言うことだ。 私が知らない以上に、圭ちゃんと詩音に関わりがあったかと思うと、面食らってしまった。 …………と言うかぶっちゃけ、頭に来た。 「ほら、圭ちゃんって結構エンジェルモートに遊びに来るじゃないですか。 その流れで家まで送ってもらったりしてるんですけど……」 口の中にあふれてきた苦汁を堪えつつ、私は聞くことに徹する。 「悪意があるはずもないんですけど、圭ちゃんが悟史くんのこと聞いてきたもんで……」 悟史くん……か。まだ彼の生存を知って私は久しくない。 私自身は数を数えれるほどでしか見舞いに行っていないが、詩音は一日も欠かさずに悟史の元へ出向く。 いつ起きても良いように。彼が一人で薄気味悪い研究室で目を開けないように。 その悟史くんのことを、圭ちゃんは図らずも傷つける発言をしてしまったのだろう。 でも、それで圭ちゃんを責めるのは酷だと思う。 私たちと圭ちゃんとの一番大きな違いは、悟史くんと会っているかいないかだ。 第二者との関係まで持った私たちとは違い、あくまでも人を介してでしか情報を得られない圭ちゃんはあまりに無知すぎる。 どれほど詩音が悟史くんを愛しているかも、知りうるはずがない。 「違うの……、そうじゃない」 独り言のように呟いた私への否定。心を見透かされたことに私は少し肩を竦める。 「怒りたかった。『何も分からないくせに』って思いたかった。憎みたかった。なのに……なのに……」 詩音の続きが分からない。私は彼女を止めてあげることができない。 この先を言うのは、多分詩音にとってとても辛いだろうに。 でも私自身の意地汚い興味が、彼女を更に窮地へ追い込むことをよしとする。 「なんで、私…………【悲しい】って思っちゃったんだろう……」 詩音は泣いていた。 普段あれほど強気に振る舞う彼女が、私の前で大粒の涙を流している。 頬を伝って股の上に置いていた拳に、ぽたっ、ぽたっ、と落ちる。 「詩音…………」 彼女にかける言葉どころか、なぜ彼女が泣くのかも私は分からない。 だって悲しいって思うことが、泣くほどおかしい理由とは思えない。 と、考えてはだめなのだ。 今までの私は、そうやって出来ない、分からないことはすべて後回しだった。 後に回して後に気づいて、絶対に後悔してしまうんだ。 悔しい思いをするのに後も先もないけれど、「あの時あぁすれば……」って思うのは二度とご免だ。 だから私は彼女の言葉をもう一度思い返す。私の記憶を掘りさげて、あらん限り考える。 違うの……、そうじゃない 怒りたかった。『何も分からないくせに』って思いたかった。憎みたかった。なのに……なのに…… なんで、私…………【悲しい】って思っちゃったんだろう…… 詩音がどれほど悟史を愛しているのか。あくまでも他の人よりは私は知っているのだろう。 だが、彼女の愛を表現することなど私には出来ない。 彼女自身の抱く悟史くんの像を、私は同じように抱くことが出来ない。 それほどまでに一途な愛を抱いていたはずの詩音を、私はどう思案しても結果は求められなかった。 一途な愛を抱いていたはずの詩音…………。 あれ……、ならば今はどうなんだ? 私は自分の頭の中で起こったバグを洗い流す。 私は確かに、詩音が悟史へ全きの愛を持っていることを知っている。 なのに、私は確かに『抱いていたはず』と表現していた。 いつもなら決して犯さない思考のミス。詩音が泣きついてきた今、その許されない矛盾が起こっている。 「ひっく……っく……っ……、お姉…………、なんでお姉まで泣いてるんですか?」 「え…………?」 慌てて頬を指でなぞると、そこには確かに液体の感覚があった。 泣くことでひきつった詩音の顔。無様とでも形容すべき垂れた鼻水。 全く同じ顔を私は今しているのだろうか。ぬぐってもぬぐっても目からは涙がこぼれる。 なんで、なんで、なんでよ……! 私が泣く理由なんてどこにもないじゃないか! 違うんだよなぁ、と妙に達観したワタシが心で呟いた。 どう心で否定したって、体はいつも正直な反応をする。 第六感の正体が、知覚できない様々な細かい情報の集合による答えであるように。 私の中で犯されてはいけない壁を作る心を、容易く脳は突き破る。 泣く理由なんて最初っから知ってたんだ。 詩音の大原則である『悟史くんとその他』って言う分類を打破した以上、圭ちゃんの存在が明らかに詩音の中で変わっている。 親でも祖母でも姉でも妹でも友でも付き人にも起こし得なかった業を、圭ちゃんは図らずもしでかした。 悟史と同等の、詩音にとってかけがえのない存在。 仲間としてではない。レナにも梨花ちゃんにもあの沙都子でも実践不可能な存在。 体を心を人を支える……、私にはなれない大事なヒト。 それを一番必要としたのは私だったのに。 それが圭ちゃんでいて欲しかったのは私だったのに。 それに自分の意味さえも捧げる覚悟だったのに。 それがなんで……詩音なの? 神サマが居るなら教えてよ。私は一人の人を愛することも許されない畜生なの? 別に恥ずかしくなって少し距離を置いたぐらいで、諦めたって誤解しないでよ。 赤い糸をまだ離した覚えはない。元々なかったなら初めから紡ぎ出すから。 お願いだから…………、こんな現実はいらないよ。 自覚出来るぐらいに私は泣いた。号泣したんだと思う。 詩音に負けないぐらい。圭ちゃんへの想いを代弁するかのように、私は泣き崩れた。 全く同じ悩みを共有するからこそ、私は抱き合って慰め合えない。 自分が一番知る痛みだから、何も差し伸べない。 二人の園崎の泣き声は、雛見沢の虚空へと響いていき、やがて闇に包み込まれていった。 昼休みを知らせるベルが鳴る頃には、俺たちは既に机をくっつけていた。 知恵先生は今日の昼食は間違いなくカレーである。野菜、ミルク、シーフードと来たから、今日は恐らく週一に訪れるご褒美の日。つまり粉からカレーを作る特製の日だ。ゆえに最後のトッピングをする、とか言って四時間目が大体チャイム前に切り上げられるのだ。 だからチャイムが鳴った今でも、詩音の姿が見られなかったのは俺にとって意外だった。 いつもなら先生と入れ替わりで入ってくるのだが、チャイムが鳴ってもカボチャ弁当持参で現れないのは恐らく初めてである。 「詩音さん、どうされたんですかねぇ」 いつもいいように振り回されている沙都子も、さすがに心配になってるようだ。 今となっては詩音のカボチャ料理は、レナも認めるほどの旨さを誇っているので、沙都子は着実に克服しつつあった。 「『明日は基本に戻って煮物ですよ、沙都子』って言われてましたのに、期待して損でしたわ」 袈裟にも見えるため息を一つついて、梨花ちゃんとのお揃いの弁当箱を沙都子は開けた。 毎日つまいでる俺は分かってるが、沙都子の料理も確実に上達している。 レナや魅音はそっちの腕は今更で、部活が料理対決となっては、いよいよ敗色濃厚になったわけだ。 「魅音、その炒め物もらおっかな」 「え? あ、うん」 詩音が居ないことに姉も上の空だったのだろう。俺の呼びかけに慌てて魅音は応えた。 箸でつまんだ炒め物をそのまま口に放り込み、しばし舌から感じられる幸福を堪能する。 絶妙な炒め加減と、濃すぎず薄すぎずの調味料、何より雛見沢の新鮮な野菜が俺の味覚を刺激した。 「んー、極楽。いつもと味が違うじゃん、なんか料理法みたいなの変えたのか?」 魅音の味を知り尽くしたわけではないが、伊達にほぼ毎日つまんでいるわけではない。 一見同じに思える味も、普段と微妙な違いがあることを俺は察知した。 「んーとね……、実は今日母さんに作ってもらったんだ……」 「え?」 「道理で」と納得する一方、今までにない魅音の切り返しに、俺は声を漏らした。 いかに時間がないときでも、夕食の残り物や買ってきた惣菜で準備してきた魅音が、なぜ今日は……。 まだ綿流しの一件からそう長い時間が経った訳じゃない。 詩音が来ないと言う狂いからも考えて、厭が応にもひとつの不安が頭をよぎる。 「魅音……、詩音となんかあったのか?」 魅音の箸、いやレナや沙都子、梨花ちゃんの箸も同時に止まる。 俺はごく自然に問いかけたつもりだ。会話の中で生まれるひとつの話題でしかない、そんな軽さで俺は尋ねた。 だがレナ達にも、俺と同じ予感があったんだろう。俺の質問を合図に昼食は中断してしまった。 「どうしたの、圭ちゃん。圭ちゃんこそ昨日はエンジェルモートまでわざわざ詩音に会いに行ったみたいだけど」 うっ……、詩音のやつ、もう魅音に話してるのか。 「まぁ詩音が誘ってくれたからさ。俺とて甘い物を食えるって褒美を出されたら付いていくしかないだろ?」 一応ちょっと笑みを浮かべつつ魅音を見るが、魅音は俺と目を合わせようともしない。 レナ達も俺の笑いにつられることなく、ただ五人の間での静寂が起こった。 いつもは感じない教室の中の喧騒だけが、やけに俺の耳をつんざく。 「魅音。俺とお前は仲間だろ? なんか困ったことがあったら話してくれよ」 その言葉が合図だった。 魅音が急に立ち上がり、隣に居た俺を椅子ごと突き飛ばしたのだ。 椅子が派手な音を立てて転がり、俺も無人となっていた後ろの机に衝突する。 頭を打って嗚咽を漏らした俺を尻目に、魅音は駆け足で教室から出て行った。 「魅いちゃん!」 レナが魅音の後を追うように席を立つ。 俺の対面に座っていたレナは、俺の前を通らずに教室の扉へ行ったが、半開きの扉に手をかけた所で止まり、俺の方へ振り返った。 いつか見たことがある、レナの冷徹な目。固く締まった表情に、突き抜けるような闇を持った瞳。 無言で俺を見据えて、レナは俺に何か喋ろうとした。 「俺は……【また】失敗しちゃったのかな」 レナの言葉の前に俺はレナへと呟いた。レナの表情が緩み、瞳の中に生気が宿る。 「そうだね、でも圭一くんが気付いただけでも、圭一くんは大人になったと思うよ」 何が何だか分からないままレナに冷視された記憶が頭をよぎる。 「魅いちゃんは私に任せて。絶対戻ってくるまで探しちゃだめだよ」 扉を開けて閉じて……、レナは俺の前から消えていった。 すっかり静まりかえってしまった教室の面々に、俺はいくつかの言葉をかけて謝罪する。 転がったままの椅子と、俺が激突した机を直して、再び元の席に座り直した。 「魅音さん、心配ですわね……」 沙都子もきっと理由は分からずとも、魅音が何かの問題を背負っていることを察知したんだろう。 魅音の弁当箱である重箱の蓋を閉じ、自らも箸を置いて食事を中断させた。 さすがに俺も食欲は失せてしまい、同じように弁当を閉じて椅子の背もたれに寄りかかった。 ふぅ……、とため息にも似た吐息。天井を仰いで俺は腕を組む。 「俺は本当成長してないみたいだな」 同じ過ちを繰り返して、また仲間を傷つける。あんなに大きな困難を一緒に乗り越えた仲間なのに……、傷つける。 「圭一、圭一は間違ったことは言ってないのです。ただタイミングが悪かっただけなのです」 「タイミング?」 梨花ちゃんの方に顔を向けながら俺は繰り返す。 「タイミングってなんだよ、梨花ちゃん」 「慰めが疎ましく思える時があります。差し出す手が凶器に見える時があります。ただそれだけのことなのです」 きっとそれを何度も見た梨花ちゃんだからこそ……、俺に言える説教。 「僕はもうこの先のことは分かりませんけど、きっと圭一なら大丈夫だと信じてます。ふぁいと、おーなのですよ」 満面の笑みで梨花ちゃんは最後を締めくくった。 どうなるかが分からないけど俺なら大丈夫。 そうさ、俺たちは政府を相手に梨花ちゃんを助けた最高の部活メンバーだ。 俺が蒔いた種なんだから、俺が責任を持って始末しないといけない。 レナが魅音を連れて戻るのを信じて、俺は再び開くはずの教室の扉を見続ける……。 やってしまった。最悪のことをやってしまった。 私を心配してくれた圭ちゃんを、私が大好きな圭ちゃんを、この手で突き飛ばして拒否してしまった。 せっかく、圭ちゃんは私のことを考えてくれたのに。 圭ちゃんが私のためにしてくれたことなのに。 「うぅ……、うわぁぁぁん」 体育用具が入っている倉庫の隅で私は泣いた。 どうせならもっと遠くに逃げれば良かったのに、たかが校舎から数十メートル離れただけで私は満足している。 きっと誰かに助けてほしいんだ。誰かに慰めて欲しいんだ。 自分で壊した物を誰かに修理して欲しい。自分が犯した罪を誰かに押しつけたい。 なんて我が儘。なんて外道。こんな私に圭ちゃんを愛する資格なんてない。 詩音を憎む道理など、私の前にあるもんか。 「うぁぁぁぁぁん」 幼児が親に泣きつくような泣き声を漏らしながら私は涙を流す。 自分に嫌悪しながら、倉庫の暗闇の中私は泣き続けた。 暗闇に光が差したのはすぐだった。多分私が着いて数分とも経ってない。 オレンジ色の髪に細い手足。私の次に背が高いよく知っている子。 「やっぱりここだったね、魅いちゃん」 「レ……レナぁ!」 私は近づいてきた竜宮レナを抱きしめた。 私よりも一つ歳が下なのに、容姿や年齢以上の包容力を持つ彼女。 きっと父親との二人暮らしの中で身に付いた強さ。 その温かさを私は今求めていたから、迷うことなくレナの胸に抱きついた。 「私……私……、もうっ」 嗚咽まみれの声を漏らしつつ、私はしてしまったことを懺悔しようとする。 それをレナは優しく遮った。 「無理しないで魅いちゃん。圭ちゃんもちゃんと反省してるよ?」 「圭ちゃんが悪いわけじゃ……!」 「じゃあなんで魅いちゃんは押し倒しちゃったのかな……かな?」 いつもの口癖なのに、この時は妙な重厚さが伴っている。私は返す言葉が見つからず、ただ自分の行動を悔やんだ。 「魅いちゃん、落ち着いたら私だけにでも話してね。一人で抱え込むのは絶対に解決策にはなんないよ」 圭ちゃんも言ったその台詞が、今は私の心を温かく包み込む。 涙を堪えようと賢明に目を閉じて息を止める。 昨日の夜、気付かず眠るまでは出来なかったことが、レナと居るだけで止めることが出来る。 鼻水をすすり、涙をぬぐい、息を整える。よし、多分これで大丈夫……。 「レナにも何度か相談したけどさ……、圭ちゃんと最近あまり仲良くできないんだ」 レナは私の前で足を横に流し、じっと顔を見据えて聞いている。 「恥ずかしいって気持ちがあったんだと思う。綿流しの日から圭ちゃんが妙に……なんか……こう」 「うん、格好良くなったよね」 レナがど真ん中ストレートの強烈なフォローをしてくれた。 自分よりも他人に言ってもらって、安心した私は無言で頷く。 「だからさ、それで上手く圭ちゃんの前にいれなくてさ……。 変に意識しちゃうって言うか……。だからあまり圭ちゃんと話さなかったんだよね」 思い返す必要以上の圭ちゃんへの拒否反応。 部活も予定がないのに嘘を付いて休んだり、出たとしても集中できずに最近は罰ゲームが多かった。 「それで……いつの間にか圭ちゃん、詩音と仲良くなってたみたいで……。 詩音から話は聞いてたんだけど、悟史くんのことがあるからあまり考えなかったの……」 なのに……と言う声を出そうとしても、また目頭が熱くなってきて私は話を中断させてしまう。 必死に目をこすってみるものの、逆効果なのかぼろぼろと再び悲しみがあふれ出してきた。 レナがまた私の後頭部に触れて軽く抱きしめ、嗚咽を漏らす私を慰めてくれる。 きっとレナのことだ。私が続きを喋らなくても、ずば抜けた推理力で私の心中を察してくれてるのだろう。 それでもレナは私が涙を再び押しとどめるまで、決して口を開かなかった。 数分泣きじゃくった私は、制服の袖で涙をぬぐいレナから離れた。 レナの顔を見ると、私が相談相手になってもらっている時の真面目な顔。実際の歳よりも数段大人びた顔をしていた。 私が視線を合わしたのを見計らってか、顔を上げるとすぐにレナは口を開いた。 「やっぱり魅いちゃんは優しいね」 レナが真面目な顔を崩して微笑む。 「良い意味でも悪い意味でも。 詩いちゃんのことを考えられる魅いちゃんは凄いよ? 多分こう言う時って自分のことしか考えられなくなると思うもの。 だけど自分自身にも優しいのは、ただの甘えだと思うな」 微笑んだ顔が、いつの間にかさっきの真面目な顔……。 いや、少し怒っているかもしれない。この時のレナには絶対冗談だとかは通用しない。 「詩いちゃんが圭ちゃんを好きになるのは、何もおかしくないないと思うよ。 私だって圭ちゃんが好き。きっと沙都子ちゃんも梨花ちゃんもそうだよ。 みんな圭ちゃんが好き。愛してる。自分のモノにしたいと思ってる。 別に魅いちゃんに譲ってる訳じゃない。 私は圭ちゃんを宝探しに誘うし、沙都子ちゃんも圭ちゃんのために料理を勉強している。 梨花ちゃんもよく神社で遊ぼうって圭ちゃんに言うんだよ? それは魅いちゃんも知ってるよね? だけど詩いちゃんの時みたく魅いちゃんは傷ついてるのかな?」 もし、そうじゃないとしたら、魅いちゃんは詩いちゃんだけに偏見を持ってるんだよ。 そう言って、唐突にレナは私の頬を張った。 決して破壊力のある平手ではなかったと思うのだが、妙に頬が痛む。 「悟史くんの事も考えて、詩いちゃんは圭ちゃんを好きになったんだと思う。 もし、魅いちゃんがこのままうじうじしてるんだったら」 その先はレナには似合わない、あまりにも残酷な言葉。 魅いちゃんはただの*****だよ。 「そうだよね……、そうだよね……、っ……うう……」 昨日の夜のように私は天を仰いで悲しみを爆発させた。 レナは私の前から立ち去ろうとせず、両手で顔を覆っている。 もしかしたらレナも泣いているのかもしれない。 それを確かめようにも私の視界は涙でぐちゃぐちゃだし、自分の泣く声しか耳には届かない。 今は誰の声も……私には届かない。 Miwotsukushi2へ続く
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私はpixivコミックで初めて少女漫画を読んでみました。 少女漫画は普通の男性が読む事は、あまり考えられないかと思います。 しかも、世間的に考えた場合は男性が少女漫画を読んでいる場合は、違和感が生じるというイメージがあります。 しかし、pixivコミックはそんな事を気にする必要がありません。